お笑い芸人とラーメンを食べに行った時の話
先日、とあるお笑い芸人さんとラーメンを食べにいった。
彼とは何年も前から、何度かライヴでご一緒し、仲良くさせて頂いている。
普段からツッコミのするどい男で、炊事も選択もできる素敵な男である。
そんな彼と、ひょんなことからラーメンを食べにいった。
話題は最近のお笑い業界事情について。
特にまだ売れていない、インディーズの人たちのお笑い事情だ。
最近、お笑いライヴのチケット価格は大暴落しているらしい。
一昔前、2000円だったチケット代。
いまや1500円→1000円→500円と低下しつづけ、
場合によっては無料、というライヴもあるようだ。
原因はもちろん、お客さんが来ないから。
価格設定を下げることで集客力をアップするのが目的なんだという。
じゃあ、それでお客さん来るようになったのですか?と私が訪ねると。
いや、それでも全然人はいないよ。会場に足を運んでまで見に来る人ってやっぱり最近すごく少ない。という返答。
え、それじゃあ会場費とか考えたら大赤字じゃないですか!と私。
そして彼はこう続いた。
だから最近、増えているのは、お笑いする側、つまり芸人をたくさん出演させるの。
持ち時間は5分くらいで、20組とか出演させる。
それで参加費をとる。1組3000円とか。そうすると企画者にとってはマイナスどころか少しプラスもでる。
しかも20組もいれば、まず芸人が多い分、人が多く入っているように見えるし、1組が1人くらい友達呼べれば、それなりに人がいるように見えるんだよ。
え、そんなイベントに何の意味があるんですか?と私。
それでも出演したい芸人って多いんだよ。
もちろん全員が面白いコントをやるわけじゃないんだけど、やっぱりお笑いやってる奴らって生で直接、お客さんを笑わしたいって考えてて。
youtubeとかでもコントとか収録するけどさ、なんか馬鹿みたいなんだよ、カメラの前でお笑いやるのって。機械に向かってじゃなくて、直接、ニンゲンを笑わせたくてお笑いやり始めたんだよな、って。
だから出演したい芸人は、ほんと山のようにいるんだよ。
無粋なことをきいてしまったなあ、と反省した。
そしてこれと同じ現象はおそらく音楽業界でも起こるだろうなあ、と思った。
全く人ごとではない。
今、ライヴハウスのチケット代は、高い。
東京都内では、インディーズのアーティストのライヴチケット相場は2000円だ。
安くてもほとんどの場合1500円を下回ることはないし、1500円以下だと安いな、という実感が私にもある。
さらにこれにドリンク代が足される、という制度もずっと変わらず続いている。
そしてお客さんはいない。
間違いなく、この制度はこれから崩壊していく。というのが持論です。
すでに地方では、チケット代を500円などに設定しているところもあるけれど、
東京都内は不思議なほど値段が下がらない。
先ほどのお笑いライヴでもあったように、アーティストの出演者の数を増やし、出演時間を短くするというライヴもあったけど、
同業者ばっかりだったし、なんだかお金の匂いがしすぎた。
ライヴハウスはこれからどこに向かうのだろう。
お笑い芸人のその友人は最後にこういった。
売れないってつらいし、目をかけられないってすごくしんどい。
でもそれをずっと続けてるとさ、幸せの沸点みたいなのが下がるんだよね。
小さなことでも喜べるようになる。
小さなことでも幸せを感じることができるようになる。
それは長く続けてきたからこそ手に入れることの出来た感覚だなあ。
今も私の心に残り、ぐるぐると巡る。
いじょう!