三島由紀夫『弱法師』を終えて
ご来場いただいた方、ありがとうございました。
『金閣寺』の主人公は、「どもり」のクセがあり、
上手く言葉を話せないという症状を抱えていました。
そして今回の『弱法師』の主人公は、目が見えず、
声に対してやたら敏感に、時に過剰に反応する人でした。
三島由紀夫の音に対するこだわりを、
私はアコーディオンで表現する、という想いがありました。
演出家というのは、指揮者みたいだな、と感じます。
今回のように、同じ演目を違う演出家により2回連続で上演するというのは、
クラシックの交響曲を、違う指揮者で演奏することに近いものがあって、
見せ方や聴かせ方というのを聴衆に浮き彫りにした、面白い企画だと思いました。
小西さんという指揮者のもと、構築されたお芝居は、
とても論理的で、
それなのに感情的で、
単純な共感を許さない所が、私の嗜好ととても合致していました。
なぜ、わざわざ生演奏なのかも、
俊徳登場のシーンで私が舞台上から居なくなり、再度出てくるタイミングも、
私の中で明確な理由をもつことが出来ました。
名指揮者の下で演奏できることはとてもワクワクしたし、勉強にもなりました。
この出会いに感謝したい。
他の出演者の方々も、気さくに、時に変態的に、私と仲良くしてくださいました。
ありがとうございました。
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そして今回は、飯田南織さんと再度共演できたこと。
飯田さんは本当に素晴らしい女優さんでいらっしゃって、
舞台中のあれほど長い時間、タッグを組ませて頂くことはとても光栄でした。
どこか触れてはいけないような、それなのに共感してしまうような、お芝居をなさる方。
そのお芝居と私の音楽が、一つの存在に近づいていく快感がありました。
大好きです。
ありがとうございました。
いじょう!