仲条幸一のブログ

仲条が感じたり考えたことを書き連ねるブログ

板野友美のボケと、私たちのライヴ演奏30分

『バラエティー番組でコントやってます』

4月20日の18時30分から放送されたテレビ番組『めちゃ×2イケてるッ! スペシャル』において。

AKB48板野友美が共演者に対して不機嫌そうにする演出を見た視聴者から、

「冷たい」「嫌いなの?」「愛想がない」

といったコメントが寄せられ、twitterなどのSNSが炎上したという。

 

そしてそのことについて共演の岡村隆史

「板野さんがわざと“ぶすっ”としてくれたので、笑いが起きた。板野さんはわかっていて、ちゃんとやってくれたのに、(板野のツイッターが)炎上して申し訳ない」

「これからは、テレビ画面に『バラエティー番組でコントやってます』って、出さなあかんのかな。これは今の時代がそうだからという問題ではない」

といったコメントを出したようだ。

(引用元:ビジネスジャーナルよりhttp://biz-journal.jp/2013/04/post_1987.html

 

当然、岡村のコメントの後半は皮肉であって、

「これはお笑いです」と出すのは、「ここが面白いところです」と説明しているようなものであって、

実現することはナンセンスという前提です。

 

30分ほどのライヴ演奏

このニュースを観て、他人事ではない違和感を感じました。

私はライヴハウスでライヴ演奏をしています。

このブログを見ている人というのも、誰かのライヴに観に行ったことのあって知っている方もいるかと思いますが、

私たちの通常のライヴというのは30分くらいの時間を用意していただいてあるものでして、

4組くらいの出演者がそれぞれの与えられた時間を有効に活用して、いろいろ音楽表現活動が行われる、といった形式がとられています。

30分だとだいたい5曲くらい演奏するでしょうか。

そして1曲と1曲の間に少し話をする、というのが一般的なライヴステージです。

 

さて、問題はこの5曲です。

 

何故5曲?

まず何故5曲なのかについて。

それは1曲が5分前後だということに起因します。

30分を5分で割ると6曲分の時間。

曲と曲の間に喋ることを考えると1曲減らすというのが簡単な構成手順になる訳です。

ここで私たちの音楽が一曲5分くらいという暗黙のルールを浮かび上がりますが、

それについて述べるのはまた別の機会にします。

 

どんな曲?

そして曲を選ぶ際に、全部が激しい曲、とか、全部がバラードでしっとり、とは普通はしません。

明るい曲の後は、暗い曲。

バラードの後には、力強い曲。

最後は感動的な曲や、終わりっぽい曲。など。

つまりは聴いている方が飽きないように、

もしくは色々な曲を聴いてもらいたいという欲のために、喜怒哀楽のメリハリをもたせようとするわけです。

 

ここで次のような違和感が浮かび上がる、というが本題です。

 

私たちは30分ほどのライヴ演奏で色々な表情をつくっている

色々な音楽を演奏するということは、
色々な表情や感情を表現するということです。
これは果たして、本当に可能なのでしょうか。
 
例えば、
失恋した今でも君が好きだよ、といったバラードがあったとします。
ゆっくりしたテンポと丁寧な言葉と音楽感。
演奏している本人も涙を流し、会場でも涙が誘われている人がちらほら。
その演奏の後、
「さあしっとりしたけど、次の曲は盛り上がっていきましょう」というトークをはさんで、
みんな大好きだ、生きるって素晴らしい、といった激しい曲を演奏。
 
 
これ、変だと思います。
まるでスイッチを切り替えるように、次は楽しみ、次はしっとり、なんて演奏するのは冷静に考えればおかしい話。
そしてメリハリを持たせることでお客さんが楽しめるというのも、
果たしてお客さん想いなのでしょうか。
もし音楽に100%感情移入してたら、演奏者も聴衆も簡単には帰ってこれません。
お客さん想いでも決してないような気がしますし、
なんだかジェットコースターにのせているような感じがします。
 
では、なぜこういったステージが当たり前のように行われているのか、といえば、
音楽が用意されたもの、もしくは作り物である、という前提を私たちは認識しているから、ということになります。
 
ディズニーで、なぜネズミや犬がキャラクターなのかとか、
映画で、この役者の動線がカメラワークを意識していて、とか
そういうことを考えて楽しむのは少数派であって、
エンターテイメントをただ楽しむというのが感覚として一般的なのです。
 
 
エンターテイメント。
いろいろな暗黙のルールが存在するのは事実です。
そしてそれらは誰かに教わるでもなく、自然と身に付いていくものなのかもしれません。
しかし今回、この暗黙のルールについて強烈な違和感を感じたので、ここに記した次第です。
 
私たちは何を思って、30分で色々な表情をみせるのでしょうか。
 
 
いじょう!