仲条幸一のブログ

仲条が感じたり考えたことを書き連ねるブログ

Bio9閉幕

ベニバラ兎団による公演「Bio9」が、昨日で無事に千秋楽を迎えました。
お越しいただいた方、ありがとうございました。

私はピアノとアコーディオンの演奏を担当しました。
また今回も前回同様、作曲を担当させていただき、
主宰方からいただいたイメージを元に、全21曲のベースの部分を作りました。


個人的な考察をひとつ。


今回の劇のテーマの1つであった、不老不死。
不老不死の研究を続けてきた研究者は、最後、その価値や倫理観を巡って争う。

あのシーンが私は一番好きだった。

亜門の、人間はグロテスクだ、というセリフが示すように、
研究者は、探究心、向上心、欲はとどまることをしらない一方で、
道徳や倫理感や死生観をそれぞれに持っていて、
音無と鬼丸は恋に溺れ、
ルポライター姉妹は、近親愛と隣人愛に揺れる。

そんな情念や価値観がすべて露見されるようなあのシーン。

このグロテスクこそ、私たちは人間らしさと呼ぶんだな、と私は思った。

そこで、このシーンの劇音楽に、バッハとグノー作曲の「アヴェマリア」をモチーフにした曲を作り、当てた。

Ave Maria
直訳で、聖母マリアに挨拶、または感謝を呈する意味。
我ながら、皮肉だなあと思う。

劇中、研究者が神頼みをするシーンが何度かある。
しかし一方で、不老不死は、神を冒涜する行為。
なんとも、滑稽であり、
なんとも、人間らしい。
最後の争うシーンもそう、
神に近づこうとしている行為を示している一方で、
もっとも神から遠い行為の矛盾は、
罪深く、業深く、醜く、優麗だった。

この曲を選んで、弾いてる私も、あの時はまるで出演者の一人になっているようでした。

アヴェマリア


ああ
劇団員の方々やゲストの方々には大変よくしていただきました。
感謝です。

さあピアノ弾こう。

いじょう!