仲条幸一のブログ

仲条が感じたり考えたことを書き連ねるブログ

おばあちゃん

今日は、僕が好きな音楽づくりの専門家が音楽づくりの講演するということで、
都内のとある大学に出かけた。

現代的な音楽の技法を使った、音楽づくりの方法。
率先して参加してきた。

その方の本は、もう何冊も読んでいるが、
どうやら僕の読みが浅かったようで、
本にあることと重複する内容は多かったはずなのに、
生でその場で聴こえてくる音に、
ただただ感心した。
使おう。

その方はおばあちゃんとは言わないまでも、50代の方。
とてもエネルギッシュ。

その方と接しているうちに、おばあちゃんに会いたくなったので、
講演の後、アポなしでおばあちゃんの家にむかった。


おばあちゃんは僕をいつも通り迎えてくれた。


おばあちゃんは僕に、大きくなったね、と言う。
僕はおばあちゃんに、そうかな、とぼやく。

おばあちゃんは僕に、歳は23になったんだっけ?と、訊く。
僕はおばあちゃんに、いや、24になったよ、と言う。

おばあちゃんは僕に、お菓子しかなくてごめんねと謝る。
僕はおばあちゃんに、ありがとう、といってお菓子をもらう。

おばあちゃんは僕に、大きくなったね、と言う。
僕はおばあちゃんに、変わらないよ、とぼやく。

おばあちゃんは僕に、歳は23になったんだっけ?と、訊く。
僕はおばあちゃんに、いや、もう24だよ、と言う。

おばあちゃんは僕に、お菓子しかないけど食べる?と訊く。
僕はおばあちゃんに、さっきもらったよ、と礼を言う。

このやりとりを1時間で3回ほど繰り返す。

おばあちゃんの時の動きは、とてもぎこちなく、
ふいに思いだしたように昔のことを話し始める。


こうちゃんも昔はこの家によく遊びにきて、ピアノ弾いてたねー


最近のことはすぐ忘れる癖に、
いつまでたっても昔の僕は忘れないようで、



帰り際におばあちゃんは、また

うわあ、こんなに身長大きくなったんだねえ、といった。

その時に気付いた。
おばあちゃんの背骨が歳を重ねるごとに、だんだん曲がっていて、
そりゃあ俺の身長も高くなるか、と思い、
同時に、おばあちゃんはすごいなあ、と思い、
ぼくはなんだかとてもざらざらしたきもちになる。



おばあちゃんはきっと何も忘れてないんだと思う。
きっと思いだせないだけなんだろう。


行こう。


いじょう!