仲条幸一のブログ

仲条が感じたり考えたことを書き連ねるブログ

花の学生

仕事で今日、荒川に架かる長いバイパスを車で通っていた。

工事の関係で非常に道が込んでおり、
ゆっくりと進んでいた。

そこへ、高校生の2人が坂道を上っていくのが窓から見えた。
自転車を降りた状態で2人で寄り添いながら上っていく姿。
なんとも微笑ましいものである。

女性の方が、ふと、足を止める。
どうやら道ばたに生えている花に興味を示したようで、
携帯でその野花を撮影しようとしていた。

何枚か撮った様子のあと、そばにいた男性が「見せて」という仕草をする。
「これじゃあだめだよ、俺がとってあげるよ」(多分)
と言った彼は、その携帯を野花に向け、何枚か撮る。
撮った写真を女性に見せる。満足そうな笑みを浮かるかと思った一寸、ちら、と男性を見るだけ見て、一人、坂道を昇り始めた。
追いかけ、横に並ぶ男性。

そこから先は表情が見えなかったけれど、
私は、彼女は単に恥ずかしくてお礼を言えなかっただけだと勝手に解釈した。
短編ラブストーリーとしては3流以下かもしれないけれど、
隠し撮りして額縁にいれ、お腹いっぱいになったころに、彼、彼女にプレゼントしたいくらい生々しい青春物であった。

丁度、私はハヌマーンの「猿の学生」を大音量で聴いていた。
処世の悲しみを知ってるか知らないかがどうでもよくなる瞬間であった。

いじょう!