仲条幸一のブログ

仲条が感じたり考えたことを書き連ねるブログ

赤羽ハトポッポ

今月の終わりは、小川恭平のワンマンライヴがある。
私はそこで鍵盤を弾く。
昨日と今日は赤羽のスタジオでバンド練習をした。


昨日、スタジオの近くに「ハトポッポ」というラーメン屋を見つけた。

ネーミングセンスに惹かれる。

今日のスタジオ終わりは帰りがひとりだったので、せっかくだし寄ってみることにした。


時間は24時をまわっていた。
しかしお客さんはそれなりにいた。
お店の人はおじさんとおばさんの2人。

入店して椅子に座ると、おばさんにすぐ
「おつかれおにいさん、みず、いる?」と聞かれた。
そういう聞き方をする店も珍しいなあ、と思う。

水を飲みながら「ポッポラーメン」を注文した。
待つ間、店にある小さなテレビへと目を向ける。

お店のおばさんが私の隣に座っていたお客さんに話をかけた。
店「おにいさん、今日どこで仕事してきたの」
客「今日は、外でガラスの点検だったよ」
店「そう。風強かったから大変だったでしょう。落ちなくてよかったねー」

ここぐらいまでのやり取りで気付く。

この店では、誰も敬語を使っていない。

お客さんは、談笑する。
お店の人に愚痴を言う。

お店の人も媚びは売らない。
おばさんは来る人みんなに「水、いる?」と毎回聞く。
雑談するかしないかは気まぐれ。

まるでどこかの家庭のようだった。

そういえば、僕たちは親に敬語は使わない。
そして、親は僕たちに敬語は使わない。

見るからに年期を重ねたお店。
ふと見ると、料理を作るおじさんの頭には「since 1988」とある。
20年以上、自営業でやれるにはやはり通念があるのだろう。

ポッポラーメンはまずかった。
まずくてよかったと思う。


帰ろうと席を立ち、お店のおじさんを呼んだ。
550円のラーメンに対し、100円玉を5枚、10円玉を5枚で手渡した。

どんな人でも、この状況なら100円玉が5枚あるか、10円玉が5枚あるか、を確認するだろう。
そしてその確認はおそらく1〜2秒必要になると思うけれど、
お店のおじさんはそれを省略した。

手渡しした瞬間、おじさんは「ちょうど?」と聞いてきた。
私は「ちょうどです」と返した。
するとおじさんは手の中のお金を確認しないまま缶に放り込んだ。

信頼を強制された感覚。
もはや器が違う。

ごちそうさまを言ってお店を出ようとすると、お店のおじさんに
「おにいさん、バイクだろ?気をつけろよ」
と言われる。
いったいなぜ気付いたのか。
いったいいつ観察されたのか。

敬意を。





今月27日は小川恭平のワンマンライヴ。
彼の非凡性に感謝を。

いじょう!