ライヴハウスのホームページtopにあるpick up!の謎
pick up! = おすすめ
ライヴハウスには必ずと言っていいほど、ホームページがあります。
開催しているイベントのスケジュールを見たり、その場所への行き方を調べたり。
どんな雰囲気の場所なのかなあと検索したりと、
ホームページはもはやなくてはならないものです。
私も、知らないライヴハウスから「出演しませんか?」というメールが来ることが多いので、
その際は、必ずホームページを検索して、そのお店の雰囲気や機材を調べています。
しかし、昔から謎だなあと思うことがあります。
それはそのホームページのトップに、
「pick up」や「recommend」として最近のライヴ情報を紹介している、あれです。
「pick up」はその英語の意味で考えたら「拾い上げる」。
「recommend」は「推薦する」ですが、
要は「このイベントがおすすめですよ」って紹介しているのだと思います。
しかし、ここで2つの疑問がわきます。
①これ見てライヴハウスに来る人っているの?
②オススメではないライヴもあるってこと?
です。
①そのライヴハウスのファン
私は身を以て体感はしていませんが、
そのライヴハウスのファンがいた時代、というのがあったようです。
そのライヴハウスの雰囲気が好きだったり、店長やそこのミュージシャンが好きだったり。
様々な理由があるでしょうが、
いずれにしてもその頃は、ライヴハウスがおすすめすることに信頼していたから、
ライヴハウスのオススメ情報というのは、役に立っていたのでしょう。
しかし最近、少なくとも私の周りでそのような人は滅多にいません。
でもクラブとかではいますね。連日同じクラブに通いつめる人。
そこでは面識のある人間が増えていくでしょうし、コミュニティみたいなものでしょう。
昨今、これを見て、観に来る人っているんでしょうか。
②相対的な優劣
当たり前ですが、演奏の優劣はあります。
上手い人もいれば下手な人もいる。
ベテランもいれば、初心者もいる。
そんなことは当たり前で、だから入場料金も違う。
ライヴハウスとしても、より良いライヴを紹介したい、ということなのでしょう。
「もっと頑張ればここに載ることができるかもしれない」とアーティストを暗に激励しているのかもしれません。
スーパーでも、仕入れたものが美味しいものを宣伝したくなりますね。
そういってしまうと紹介されないものは売れ残る可能性が出てしまいますが。
まあその辺はミュージシャン側が試されていると思って、「上等だ!」と奮起して演奏して然るべきでしょう。
そしてライヴハウス側も、オススメを載せてしまう以上、他の日でお客さんがいなくなるというリスクを背負っているとも言えます。
まあ、この辺りは良いのです。
だけれども、私は一つ、超個人的な意見を言いたい。
そもそもライヴハウスは大きく分けて、2種類の出演方法があります。
1つ目は、自分でライヴの企画を持ち込む、いわゆる「自主企画」。
2つ目は、「通常ブッキング」というシステムです。
1つ目の「自主企画」。
そのライヴハウスに惚れ込んだ外部の人が、自分で企画を立てて、ソロでワンマンライヴをやったり、自分で出演者を募ったりする。
ライヴハウス側はそのために場所を提供して、チャージやドリンクなどから収益を得る。
これは特に説明は要らないですよね。
2つ目の「通常ブッキング」は、ライヴハウス側が出演者を募るシステムです。
このシステムは、ライヴハウスから、
「●月○日、空いていませんか?良ければこのようなノルマ条件で出演して欲しい」
というメールや電話が来て、それにミュージシャンが可否を返す仕組みです。
この「通常ブッキング」は、普通はただ闇雲に出演者を募るわけではありません。
そのライヴハウスの企画担当の人が、
このアーティストとこのアーティストが一緒に演奏した日は面白いんじゃないか、とか、
気が合いそうなアーティストを集める日にしよう、とか、
色々な試行錯誤の元で、メールや電話がくるのが基本です。
つまりライヴハウスにとって、一番自由に組めるライヴとも言えます。
スケジュールの調整や、出演条件など設定は大変でしょうが、
ライヴハウスがオススメできるライヴを一番組みやすいのが「通常ブッキング」な訳です。
しかしお察しの通り、
ライヴハウスのトップページに「通常ブッキング」のオススメが貼られることは、経験上もほとんどありません。
持ち込みの「自主企画」か、もしくは、事務所や音楽とは関係のない大人の事情が絡んでいるような特別なタイトルが付けられたイベントがほとんど。
これはよくよく考えれば変です。
なんとも、嫌な匂いを感じざるを得ません。
「通常ブッキング」が
「出演者が足りないから、出て欲しいだけなんじゃないか」
という疑いを持ってしまうのは、仕方ないと思います。
だから私は「pick up」のトップを観ると、果たして私たちの音楽を聴いていてくれていないのではないか、という気持ちになるのです。
私たちは大なり小なり、身を削って音楽をやっています。
闇鍋の材料になんかされたくはありません。
つまらないプライドと思われるかもしれませんが、
私たちはこのくだらない信念を大事に音楽をするべきなのです。
音楽で人の心を動かせるって本気で思っているどうしようもないバカなのです。
経営している人達は、どうかそのことだけ、忘れないで欲しいのです。
打算的でも結構ですし、
こいつの演奏ほんとクソだな、って思ってくれても結構ですから。
私は最近、よく思います。
ミュージシャンシップの信念を持ったライヴハウスほど、
毎日経営するのは無理なのではないかって。