音大を受験するか悩んでいる人たちへ
第十一回「普通じゃない音大と、そこにあるリアル」の公開
音楽大学。
音大といわれているその場所は、それまで自分が続けて来た音楽を、専門的に追究する場所だと考えられています。
今回のフクモリさんとの共同ラジオは、この「音大」をテーマに収録しました。
【キーワード】
音大生の入学から卒業まで/楽典・聴音・実技/二種類の音大生/就職率/留学制度/才能の違い/のだめカンタービレ/一途に取り組んできた情熱
音大を卒業したらその道のプロになれるの?
もちろんそんなわけはありません。
例えば、国立音大のホームページに記載されている2012年卒業生の進路のグラフがこちら。(このグラフには進路先が決まらなかった人は含まれていません。)
引用元:http://www.kunitachi.ac.jp/education/campuslife/careersupport/index.html
音大の中でも、演奏家としてプロになっているのはほんのひとにぎり。
あとは教育に関連する場所(学校や音楽教室)、一般就職、楽譜の出版社等の音楽に関わる仕事、などが一般的です。
そんなに甘くないという現実。
この現実は最近では一般的になっているようで、
音大受験率は下降傾向にあるとききます。
では音楽を諦めますか?
多くの学校の先生や保護者は言います。
「本当に音大でいいの?」
「やめといたら?」
これは上記に挙げたような現実を知っているから。
生易しいものではないと、その身を案じて言ってくれているのだと思います。
しかし、私が思います。
自分が長く続けて来た音楽を、もっと専門的に高めていきたいと願うこと。
この欲求そのものは素晴らしいのではないですか、と。
一般的な多くの高校生は、自分の進路について漠然的です。
「あの大学が有名だし、楽しそうだし」
「学校の雰囲気がよかったし就職率も良いから」
これらの理由も、結構なことだと思います。
自分のやりたいことを見つけるために大学に行くという動機だって全く否定されるものではないと思います。
しかし、
「自分はもっと音楽を追究したいんだ」という動機って単純に素晴らしいものじゃないですか。
音大に入ったら授業以外にも平均8時間くらいは個人で練習しているでしょう。
幼い頃から多くの時間を音楽に割いてきたのに、なおも、音楽を追究したいと願う。
医者になりたい、起業家になりたいというのとはまた少し違うように感じます。
その音楽に対する情熱といったら。
しかし残念ながらその情熱も、就職活動には全く生きていないのが現状でしょう。
ひとつのことに向き合ってきた情熱はほとんど評価されずに、
「音大生は一般教養がない人が多い」
「コミュニケション力が欠如している人が多い」
といった偏見が未だ強い風潮を感じます。
音大を漠然と目指している人へ
ラジオでも述べてますが、音大を目指す人には大きく2種類に分けられます。
ひとつは「音楽が好きだから、もっと追究したい」という方向の人と、
もうひとつは「何がなんでもプロになりたい」という方向の人。
前者の人には、音大はすすめません。
今は音大でなくても音楽の勉強が出来ます。
色々な音楽を知ることも、色々な経験をすることも、便利な世の中が助けてくれます。
自分の楽器の専門性を高めながら、他の音楽ジャンルに根を拡げてみるのもいいと思います。
後者の人。
自分が培ってきた音楽を基に、演奏家としてプロになりたいと願うのであれば。
今のこの世の中でどうやったら音楽でプロになれるのかを考えて、
調査をして、生の情報を集めて、
その結果、音大が必要なのであれば受験するべきだと考えます。
音大を出れば誰でもプロになれるというのは間違いです。
そして「できればプロになりたい」といった「できれば」くらいの人もまた、音大にはいかない方がいいです。
「何が何でもプロになってやる」という人たちのほとんどがプロになれないのが「音大」です。
音楽に限りませんが、
人生で、一生を捧げても良いなあと思える。
夢中になれる。
情熱を捧ぐことができる。
これは本当にすてきなことだと思います。
綺麗ごとなのかもしれませんが、
そういった情熱が評価されない今の世の中の方がおかしいです。
しかし、そういった世の中と上手く付き合っていかないと行けないのも事実。
その折り合いというか、付き合い方は、結局自分が見つけるしかないというのも事実です。
あとはこちらのフクモリさんのブログもご参照ください。
http://rfmori.blogspot.jp/2013/04/blog-post_1677.html
いじょう!